2009年08月11日

客船のトラブル多発で提訴 ピースボートの参加者二十四人


 非政府組織(NGO)「ピースボート」が主催する「地球一周の船旅」をめぐり、客船のトラブル多発で日程変更を強いられ、健康被害も出たとして、参加者24人が11日、ピースボートの吉岡達也共同代表と旅行会社などに計約2700万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。

 原告は、横浜港を昨年5月に出港した第62回の参加者20人と、同9月出港の第63回の参加者4人。

 訴状によると、航海に使われたパナマ船籍の「クリッパー・パシフィック」(22、945トン)は、航行中にエンジントラブルや船体への亀裂、小規模火災、エレベーター故障などが相次ぎ発生。客室でも空調不良でかぜをひいたり、茶色い飲料水が出て下痢を起こしたりしたケースもあった、としている。

 第62回は予定より10日遅れ、昨年9月4日に帰港。3日後に第63回の航海が始まったが、ギリシャで航行不能となって乗客が別の客船へ乗り換える事態となり、原告4人は嫌気がさして自ら空路で途中帰国したという。

 ピースボートは「訴状を見ていないので、コメントできない」としている。

21/08/11 18:09

客船のトラブル多発で提訴 ピースボートの参加者24人
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2009年05月30日

下の句をお忘れなく


 海賊対策でアフリカ・ソマリア沖に展開している海上自衛隊の護衛艦が5月中旬、民間国際交流団体「ピースボート」の船を護衛しました。3カ月以上かけて地球を1周するクルーズ船です。

 ピースボートは海自派遣に反対していますが、隊員は淡々と護衛しました。団体事務局によると、護衛を受けた理由は「国土交通省から指導された」「地中海と北欧を巡るのが旅の目玉で、航路を変更できない」。参加者の安全と楽しみを重視したようです。

 海賊対策に限らず、自衛隊の任務に反対ありきの主張には耳を疑うものも少なくありません。ピースボートを設立した辻元清美衆院議員が所属する社民党の福島瑞穂党首の発言もそのひとつです。

 「迎撃ミサイルが目標に当たったら、残骸が落ちる。市民に被害はないといえるのか」。先の北朝鮮の弾道ミサイル発射に備えた政府の迎撃方針に福島氏はかみつきました。迎撃後の残骸より、ミサイルや部品がそのまま落下した場合の被害の方が甚大であることをどう考えているのでしょうか。

 主義・主張はいろいろあっていいと思います。ただ、団体であれ政党であれ、「自衛隊の任務に反対しましょう」と賛同を求めるなら、下の句を添えることも忘れないでいただきたいと思います。「皆さん、守ってもらえなくても文句は言いませんね」と。(尚)

21/05/30 20:19

【Re:社会部】下の句をお忘れなく
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2009年05月18日

ピースボートの人達は幼稚園児並み


 いささか旧聞に属するけれど、アフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の旅客船を護衛した話題を取り上げたい。ネットの世界でも、論議が盛り上がっている。

 ▼ピースボートは、社民党の辻元清美衆院議員が、早稲田大学在学中の昭和58年、客船をチャーターしてグアムなどへのクルーズを実現したのが始まりだ。その後も、反戦の主張を掲げて世界各地への旅を続けてきた。平成4年暮れには、辻元さんを含めたメンバー約70人が、カンボジアを訪れている。

 ▼わが国初の本格的な国連平和維持活動(PKO)に参加していた自衛隊施設大隊を見学するためだ。隊を取材中だったカメラマンの宮嶋茂樹さんによると、基地内で勝手気ままに振る舞う人たちに、声をからして対応する広報担当者は、幼稚園の先生のようだった(『ああ、堂々の自衛隊』クレスト社)。

 ▼「従軍慰安婦を派遣するというウワサがある」「隊内でコンドームを配っているとか」「帝国時代の軍人を尊敬している人がたくさんいるのか」。対話集会でのメンバーの質問は、泥まみれになって道路の補修などに取り組む隊員たちへの悪意に満ちていたそうだ。

 ▼今回の海自の派遣にも反対していた。その海自に、海賊から守ってもらったことを批判するつもりはない。せめてこれを機会に船内で、自衛隊を含めた安全保障の問題をまじめに論じ合ってほしいと願うばかりだ。

 ▼ところで、今のところ小紙しか、ピースボート護衛の事実を伝えていない。辻元さんが、設立を思い立ったのは、侵略を進出と変えたと報じた、例の教科書問題だったそうだ。誤報だったと認めたのも、読者のご存じの通り、小紙だけである。

21/05/18 07:16

【産経抄】5月18日
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2009年05月14日

「反対…でも守って」海自がピースボートを護衛


 海賊対策のためアフリカ・ソマリア沖に展開中の海上自衛隊の護衛艦が、民間国際交流団体「ピースボート」の船旅の旅客船を護衛したことが13日、分かった。ピースボートは海賊対策での海自派遣に反対しており、主張とのギャップは議論を呼びそうだ。

 海自の護衛艦2隻は11日から13日にかけ、ソマリア沖・アデン湾を航行する日本関係船舶7隻を護衛。うち1隻がピースボートの船旅の旅客船だった。ピースボートは社民党の辻元清美衆院議員が早稲田大在学中の昭和58年に設立。船旅は寄港地のNGO(非政府組織)や学生らと交流を図ることなどを目的としている。

 66回目となる今回の船旅は約3カ月半に及ぶ地球一周で、北欧5カ国とフィヨルドを巡るのが目玉。約600人が参加し、4月23日に横浜港を出発後、中国とシンガポールに寄港。ピースボートのホームページには船旅の最新リポートとして、デッキで催されたフルーツパーティーの様子が掲載されている。

 ピースボート事務局によると、船旅の企画・実施会社が護衛任務を調整する国土交通省海賊対策連絡調整室と安全対策を協議し、海自が護衛する船団に入ることが決まったという。

 ピースボートは市民団体による海自派遣反対の共同声明にも名を連ねている。事務局の担当者は「海上保安庁ではなく海自が派遣されているのは残念だが、主張とは別に参加者の安全が第一。(企画・実施会社が)護衛を依頼した判断を尊重する」と話している。

21/05/14 02:36

「反対…でも守って」海自がピースボートを護衛
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2009年03月19日

「荒廃」が深刻化した広島


≪「荒廃」が深刻化した広島≫

 去る2月28日、広島で教育シンポジウムに登壇した。この日は広島県の教育史において意味のある日付だ。

 昭和60年、この年の2月末から開催された県議会において広島県の教育荒廃が問題視された。その結果、県議会議長が教育荒廃の原因は日教組の組合活動理念の教育現場への持ち込みと、それを支援する部落解放同盟の不当介入にあるとし、改善を求める要請を県知事と教育委員長に行った。

 しかしこれが逆に部落解放同盟などから問題とされた。議長は要請文を撤回し、9月17日、県知事、県議会議長、県教育長、部落解放同盟県連、県教職員組合など8者によって「差別事件の解決に当たっては、関係団体とも連携」することを確認した「8者懇談会合意文書」が出されるに至る。これが県の教育行政を一部の同和団体等がコントロールする根拠とされ、教育荒廃はいっそう深刻化することになる。

 平成元年、学習指導要領が改定され、国旗・国歌の指導が義務付けられた。だが、広島県ではそれとは逆に、同4年2月28日、君が代は身分差別につながる恐れもあり、日の丸は天皇制の補強や侵略、植民地支配に援用されたとし、「日の丸・君が代にかかわる広島県教委の各地教委、校長へのこれまでの対応には、ゆきすぎもあり、…反省せざるを得ない」とする文書(「2・28文書」)を県教育長が部落解放同盟県連委員長宛(あて)に出すに至る。

 広島県は特定の勢力にとって「解放区」となったのである。

 平成10年4月1日、参議院予算委員会で広島県の教育荒廃とその原因が取り上げられた。その結果、同年5月20日、文部省(当時)が広島県教委と福山市教委に対して異例の是正指導を行うに至る。国旗掲揚・国歌斉唱、人権学習の内容、道徳の時間の名称(時間割に「人権」と記載)、その指導内容、国語の時間割(「日本語」と表示)など13項目にわたるものだ。

≪問題は「子ども権利条例」≫

 そして同11年2月28日である。県立世羅高校の石川敏浩校長が卒業式の前日に自殺する事件が起きる。原因は組合推薦で管理職になったものの、県教委の姿勢が百八十度変わり、板ばさみになったということだった。石川校長の自殺は国旗国歌法制定のきっかけにもなったが、広島県の教育も大幅に正常化されるに至る。

 今年は石川校長の自殺から10年になる。冒頭に紹介したシンポジウムは、広島県の教育は変わったのかを検証するために地元の教育団体や保護者の団体が開催したものだ。事前に資料をもらって調べてみたが、確かに大きく改善された点も多くある。かつて全国で最下位を争っていた学力は中位くらいにはなった。だが、地域によっては大きな揺り戻しもある。福山市では管理職や教育事務所スタッフの半数以上が元組合幹部や同和研究会役員であるという指摘もある。地元の人たちから聞いた具体的な話もそれを裏付けた。

 揺り戻しの一つは広島市で旧社会党出身の秋葉忠利市長の肝いりで制定が検討されている「子どもの権利条例」だ。同シンポジウム開催のもう一つの目的は同条例制定に反対の意思表示をすることであった。市広報に発表された条例の骨子(試案)は虐待、いじめから子供を守ることを眼目の一つとしている。

≪あの暗黒時代はこりごり≫

 しかし、それなら虐待・いじめ防止条例でも制定すればよい。そうしないのは別の目的があるからだ。子供に「自分の考えを持ち、表現すること」「学び、遊び、休息すること」などが権利として保障されれば、教師や親の手足を縛ることになるのは言うまでもない。道徳教育も無にされよう。「意見を表明する機会が与えられること」は子供を扇動して政治活動をする組合教師には都合がよい。

 しかし、最大の眼目は「子どもは、権利の侵害について相談し、又は権利の侵害からの救済を求めることができる」「子どもの権利侵害等について総合的な相談支援を行う拠点機能の整備」とある部分にある。権利救済のための第三者機関を作るということだ。これは人権擁護法案にいう人権委員会の「子どもの権利」版と考えればいい。

 かつて広島県では差別と思えないさまざまなことが「差別」とされた。今度は「権利侵害」とされるのである。特定の勢力がそこに介入する。秋葉市長は条例制定に政治生命をかけていると聞く。2月21日から23日には広島で日教組大会も開かれた。日教組出身の民主党の輿石東参議院議員は「子どもの権利」に言及したメッセージを寄せている。あの暗黒時代に戻ることはたくさんだと県民の多くは思っている。(やぎ ひでつぐ=高崎経済大学教授)

21/03/19 07:18

【正論】八木秀次 教育正常化を揺り戻す動きだ
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2009年01月29日

日教組問題「教頭任用者のほとんどは組合推薦」


 自民党有志でつくる日教組問題究明議連(会長・森山真弓元文相)は29日、文部科学省の担当者らを招いて党本部で第4回会合を開いた。この中で、兵庫県西宮市教組の会報「西教組ニュース」(昨年12月4日発行)が「ここ数年は、教頭任用者のほとんどは組合推薦です」と昇任人事への介入を「告白」している問題が指摘された。文科省側は「あってはならないことだ」として、次回会合で調査・指導結果を報告することを約束した。

 教員人事は都道府県教育委員会に権限があるが、実際は昨年夏に発覚した大分県の教員採用・昇進にかかわる汚職事件の事例が示すように、教職員組合による推薦・斡旋など不適切な実態が指摘されている。

 一方、「西教組ニュース」は堂々と「行政や非組合員からの(教頭)任用をどう減らしていくかが今の重要な課題」「『民主的な職場』『ゆとりある職場』づくりのため、教頭推薦を完全に集約しましょう」などと記していた。

 会合ではまた、兵庫県教組が昨年12月、公務員に認められていないストライキを計画し、県教委との交渉で「一定の成果があった」として直前に取りやめた事例も報告された。民主党の輿石東参院議員会長の「教育の政治的中立はありえない」発言も議題となり、出席議員からは「安全保障と教育は、自民党と民主党が最も異なる部分であり、次期衆院選の争点となりうる」(義家弘介参院議員)といった意見が相次いだ。

21.1.29 18:59

日教組究明議連が指摘、西宮市教組「教頭任用者のほとんどは組合推薦」と会報で暴露
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2006年07月10日

警視庁にもまた… 「靖国参拝するな!」脅迫文

警視庁にもまた… 「靖国参拝するな!」脅迫文

 安倍晋三官房長官あてに靖国神社への参拝中止を求める脅迫文とカッターナイフの刃が届いた事件で、新たに警視庁神田署(東京都千代田区)にも同内容の封書が郵送されていたことが10日、分かった。差出人名などは、これまでに内閣府や産経新聞東京本社などに届けられた4通と同じで、警視庁は、同一人物による犯行とみて脅迫容疑で捜査している。

 調べでは、神田署に届いた脅迫文は、日本語で「将来の安倍晋三総理に伝える 靖国参拝するな!参拝すれば天罰下れ!天誅(てんちゅう)!!」と書かれ、カッターナイフの刃がテープで張り付けられていた。

≪安倍氏の地元事務所にも脅迫状≫

 山口県下関市にある安倍晋三官房長官の地元事務所に、脅迫文などが送られていたことが10日、分かった。下関署が脅迫容疑で調べている。

 事務所などによると脅迫文は8日に郵送され、文面は「靖国に参拝するな。参拝すれば天罰が下る」という意味の内容。カッターナイフの刃が同封されていた。香港の消印があったが、日付は確認できなかったという。

 事務所は8日に下関署に被害届を出した。首相官邸にも安倍氏あての同様の脅迫文が送られており、下関署は関連があるとみて調べている。

07/10 18:35
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2006年07月08日

安倍氏に「参拝するな」脅迫文 産経・読売ほかにも届く

安倍氏に「参拝するな」脅迫文 産経・読売ほかにも届く

 安倍晋三官房長官あての脅迫文とカッターナイフの刃が届いた事件で、7日までに、新たに産経新聞東京本社(東京都千代田区)のほか、読売新聞東京本社(同)、警視庁丸の内署(同)にも同内容の封書が郵送されていたことが分かった。差出人名なども同じで、丸の内署は、同一人物が郵送したとみて脅迫容疑で捜査を始めた。

 調べでは、産経新聞に届いた脅迫文は、エアメールに入れられたA4判の紙1枚。日本語で「将来の安倍晋三総理に伝える 靖国参拝するな!参拝すれば天罰下れ!天誅(てんちゅう)!!」と書かれ、カッターナイフの刃がテープで張り付けられていた。読売新聞と丸の内署に届いた封書も同様だったという。

 4通はいずれも、差出人は「劉燿徳」という名前で、香港の住所が記されていた。

07/08 08:08
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2006年02月17日

女系天皇容認 極秘文書「結論ありき」濃厚に 有識者会議も「手順」通り

女系天皇容認 極秘文書 「結論ありき」濃厚に 有識者会議も「手順」通り

 「皇室典範に関する有識者会議」が発足する七カ月も前に、政府の非公式検討会は女性・女系天皇を認めるための法改正を想定していた−。産経新聞が入手した政府の極秘文書を見ると、昭和四十年の秋篠宮さま以降、皇室に新たな皇位継承者(男子)が誕生していないことに政府が早い時期から危機感を持っていたことが分かる。二人の東大総長経験者や日本経団連会長らをそろえた「有識者会議」の議論が「初めに女性・女系容認の結論ありき」(皇室研究者)だったとの疑念がますます濃厚になっている。(阿比留瑠比)

 極秘文書によると、宮内庁で皇位継承制度にかかわる基礎資料の作成が始まったのは平成八年。翌九年四月から十二年三月まで、内閣官房が加わった非公式の「特別研究会」が二期に分かれて設置されている。

 第一期メンバーには、工藤敦夫元内閣法制局長官、古川貞二郎内閣官房副長官(当時)、大森政輔内閣法制局長官(同)らのほか、元宮内庁幹部らが名を連ねている。古川氏は後の有識者会議の委員でもある。

 研究会設置の明確な経緯は不明だが、当時の橋本龍太郎首相は「年月日は覚えていないが、古川君にどういうケースが起こるかわからないから、皇位継承について広く研究しておいてくれと話したことがある」と語る。

 第一期研究会に参加した大学教授の一人は「当時、宮内庁の鎌倉節長官、森幸男次長も出席して何回か会合を持った。『女系天皇に対する国民感情がどうなるかが最大の問題だ。その場合、天皇のありがたみはどうなるか』というところで議論は終わった。旧皇族の皇籍復帰は議論しなかった」と証言する。

 第二期研究会には、やはり有識者会議の委員(副座長)である園部逸夫元最高裁判事が加わっている。第二期メンバーの一人は「女性・女系天皇にどういう問題があるか、認める上で妨げはあるかという観点から研究した」と説明する。

 研究会は十二年三月にいったん閉じたが、宮内庁では資料の作成、整理が続けられた。そのうえで十五年五月から十六年六月にかけて、内閣官房と内閣法制局、宮内庁による皇位継承制度の改正に向けた共同検討が実施されている。

 文書の「検討課題」と題された部分は、改正に向けた手順として、第一段階では「政府部内の関係者による非公式の検討に速やかに着手し、十六年三月末をめどに一応のとりまとめを行う」と記述。第二段階では、政治状況を見極めつつ、有識者による懇談会を立ち上げ、正式に検討を開始▽しかるべき時期に趣旨、検討の方向についての中間報告をとりまとめ、公表▽中間報告に対する世論の動向などを見ながら成案とりまとめに向けた検討を進める−とする。

 実際に、有識者会議は十六年十二月に発足後、十七年七月に女系容認と男系維持の両論を併記した中間報告である「今後の検討に向けた論点の整理」を公表。これに対する世論の反応をうかがったうえで、女系容認に向けた論議を加速させており、文書が示した手順と符合していた。

【皇室をめぐる最近の主な出来事】

平成

 8年   宮内庁で皇位継承に関する資料を作成

 9年4月 政府の第1期の皇位継承制度に関する非公式研究会が始まる(〜11年3月)

11年4月 第2期の研究会が始まる(〜12年3月)

13年4月 宮内庁が雅子さまご懐妊の兆候と発表

  12月 皇太子ご夫妻に長女、愛子さま誕生

15年5月 内閣官房、内閣法制局、宮内庁が共同で皇位継承制度改正を検討(〜16年6月)

  12月 宮内庁の湯浅利夫長官が秋篠宮家に「3人目のご出産を」と発言

16年5月 政府が女性・女系天皇容認を打ち出した極秘文書をまとめる

   同月 皇太子さまが「雅子の人格を否定するような動きがあった」とご発言

   7月 内閣官房と宮内庁が公式検討に向けた準備をスタートさせる

  12月 皇室典範に関する有識者会議が発足

17年1月 有識者会議が初会合

   7月 有識者会議が両論併記の中間報告

  11月 有識者会議が女性・女系天皇を認め、長子優先とする報告書を提出

18年1月 秋篠宮ご夫妻が歌会始でそろってコウノトリのお歌を披露

   同月 小泉純一郎首相が施政方針演説で皇室典範改正案の提出を明言

   2月 宮内庁が紀子さまご懐妊の兆候と発表、政府が皇室典範改正案提出を断念

【(皇位継承制度改正に向けての)「検討課題」全文】

■検討課題

一、状況

(1)現在、皇位継承資格をお持ちの皇族方は6方。40年近く、新たな男子皇族の御誕生はない。現行制度では、将来の皇位継承が不安定となる恐れがある。(皇位継承は、国の基本に関わる事柄であり、その継承に不安が生じてからの検討では遅きに失する恐れがある。また、制度改正の内容如何により、女子皇族御教育の方針・体制等にも影響)

(2)女性天皇容認の議論は、国会でも論議され、世論調査動向も女性天皇容認へと、大きく変化。(昭和50年と平成15年を比較すると、男子限定が54・7%から9・6%へ、女子でもよいが31・9%から76%へと変化、日本世論調査会)

(3)本件は、事柄の性質上、きわめて慎重に対応すべき課題であるが、上記のような状況から、制度改正について早期の検討を求める世論が高まる可能性も視野に入れておく必要がある。

二、検討項目

(1)皇位継承制度

(2)関連する諸制度〔女性天皇の配偶者、皇籍離脱、摂政、皇室経済〕

(3)公式検討の体制、手順等

三、改正に向けての手順

(第一段階)政府部内の関係者による非公式の検討に速やかに着手し、平成16年3月末をめどに一応のとりまとめを行うべく検討を進める

(第二段階)

・政治状況等を見極めつつ、有識者による懇談会を立ち上げ、正式に検討を開始

・しかるべき時期に趣旨、検討の方向についての中間報告をとりまとめ、公表

・中間報告に対する世論の動向等を見ながら成案とりまとめに向けた検討を進める(党、国会との調整をどうするか?)

四、当面の検討体制

内閣官房=内閣官房副長官(事務)、内閣総務官

内閣法制局=内閣法制局長官、内閣法制次長

宮内庁=宮内庁長官、宮内庁次長(この下に、属人的な検討チームをおく)

■作業について

一、検討項目

(1)現状認識及び女性天皇に関する論点の整理

(2)皇位継承資格、皇位継承順序に関する制度の検討

(3)関連する諸制度の検討

(4)公式検討のメンバー候補者リストの整備、手順の検討

(5)その他基礎資料の収集

二、作業手順

(1)検討項目ごとに分担して検討を進め、少なくとも毎月一回作業チームの会合を開き調整を行う。

(2)作業チームの打ち合わせ、資料保管のため会議室を確保する。

(3)9月末、12月初頭、2月末を目処に親懇談会との合同会議を開き、逐次、項目ごとのとりまとめを行う。

三、検討チーム(内閣官房、内閣法制局、宮内庁のメンバー)

■作業項目の詳細案

(1)皇位継承制度の検討

・皇位継承資格

(ア)女性天皇案(皇統に属する皇族女子に皇位継承資格を認める案)の意義

(イ)男系維持案(養子案、旧皇族の復帰案、非嫡出子による継承案、皇族の離婚及び再婚案)の問題点

・皇位継承順序

(ア)「同等内男子優先案」「同等内長子優先(男女平等)案」の比較

(イ)男子優先案(直系傍系を問わず男子を優先する案)の問題点

・皇族の範囲・皇室の規模

・今回の改正の考え方

(2)関連諸制度の検討

・女性天皇等の配偶者制度

(ア)従来の議論とそこで提示された問題点への対応

(イ)名称の検討の仕方

(ウ)身分・敬称・役割等

・皇籍離脱・婚姻手続き

・摂政

・皇室経済制度

・宮内庁法等組織改正の必要性

(3)改正手順等の検討

・検討公表の時期・段取り

・改正制度成立までの作業日程

・公表後の検討組織のあり方(組織の性格、人選、構成、事務局の体制)

・公表後の検討組織の審議の進め方

・国会対応

・報道対応
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女性・女系天皇「容認」二年前に方針 政府極秘文書で判明

女性・女系天皇 「容認」2年前に方針 政府極秘文書で判明

 内閣官房と内閣法制局、宮内庁などで構成する政府の非公式検討会が平成十六年五月、女性・女系天皇容認を打ち出していたことが十六日、産経新聞が入手した極秘文書で明らかになった。文書には、有識者による懇談会立ち上げなど皇室典範改正に向けた手順を示した部分もあり、小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大総長)の設置や論議の方向性は、非公式検討会の筋書きに沿って進められたとみられる。

 中心的な文書は、将来の皇位継承制度改正に向けた「検討課題」と、十六年五月十日付の「皇位継承制度のこれからのあり方について」だ。「検討課題」は宮内庁と内閣官房、政治学者らによる水面下の研究会が九年四月から開始されたことなど検討経過も記録している。「皇位継承制度」の文書は具体的な改正点に言及している。

 こうした文書によると、「皇位継承資格を男系の男性に限定する現行制度では、象徴天皇制度が維持できず、皇位継承資格を女性にも認めるべきだ」と指摘。男性に限定しない理由としては「国民意識は女性が皇位に就くことを認めている」「歴史上、女性天皇が存在する」ことなどを挙げている。

 また、男系に限定しない理由としては、「国民は、皇位は男系でなければならないと考えていない」「男系維持のために養子制度を導入したり非嫡出子に皇位継承資格を認めることは、多くの国民の理解を得ることは困難」などを挙げている。

 いずれも国民意識を根拠としており、「国民の理解と支持」を強調した有識者会議の報告書と論理展開が似通っている。

 ただ、文書は皇位継承順位に関しては「『長男優先』と『長子(第一子)優先』の二つの考え方がある。いずれの案をとるべきかについては、国民意識を見極めて総合的に判断すべきだ」として結論を出していない。この点は、「制度として分かりやすい」として長子優先を打ち出した有識者会議と異なっている。

 文書はこのほか、「皇族の範囲」「女性天皇および女性皇族の配偶者および婚姻に関する制度」「皇籍離脱に関する制度」「皇室経済制度」などの検討が必要と指摘している。有識者会議の報告書も、これらを論点として取り上げている。

 非公式検討会発足時のメンバー(内閣官房副長官)で、「皇室典範に関する有識者会議」委員も務めた古川貞二郎氏の話「当時、副長官として(皇位継承問題の)勉強はしたが、あくまで勉強だ。研究会で何かをまとめ、結論を出したということはない。有識者会議は白紙で議論した」
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2005年11月22日

皇位継承、長子優先 内親王は宮家創設へ 有識者会議、二十四日最終報告

皇位継承、長子優先 内親王は宮家創設へ 有識者会議、24日最終報告

 政府の「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大総長)は二十一日の会合で、女性・女系天皇を容認した場合の皇位継承順位について、男女を問わず長子(第一子)優先とすることで一致した。また、女性皇族が結婚後もその地位にとどまることで皇族の増加が予想されるが、皇族の子孫をすべて皇族とする現在の「永世皇族制」は維持する。

 有識者会議は、二十四日に最終報告書を小泉純一郎首相に提出する。政府はこれを受けて皇室典範改正案を来年の通常国会に提出したい意向。有識者会議の決定に沿った改正案が成立すれば、皇太子ご夫妻の長女、愛子さまの皇位継承順位は二位となる=図。

 皇位継承順位については、「長子優先」と「兄弟姉妹間では男子優先」のどちらを選ぶかで議論が続いていた。しかし、二十一日の会合では、「長子優先とした方が、国民が将来の天皇の成長をご幼少のころから見守ることができ、分かりやすい」との意見で一致した。

 「男子優先」が望ましいとの意見は、男子がいつ生まれるかで皇太子が定まらない不確定な期間が想定されるため、「不安定な制度だ」として退けられた。

 また、女性皇族については現行の男性皇族と同じ扱いとし、天皇の姉妹や娘、孫にあたる「内親王」と、内親王や親王妃らを除く女性皇族の「女王」とで区別。内親王については自らの意思に基づく皇籍離脱を認めず、結婚後は宮家を創設できるようにする。女王は、結婚などで皇籍を離脱するかどうかは自らの意思で決められるとした。今月十五日の結婚に伴って皇籍離脱し、黒田清子さんとなった紀宮さまの場合、仮に有識者会議の決定に沿った皇室典範改正後の結婚であれば皇族にとどまり、夫の黒田慶樹さんが皇族となる。

 吉川座長は会合後の記者会見で、皇室の伝統尊重の立場から、男系による皇位継承維持を求める学者らの発言が相次いでいることについて「私たちは歴史観や国家観で案を作ったのではない。歴史観は国会で議論すべき問題だ」と強調した。



 皇室典範 皇位継承順位の決め方や皇族の範囲などを定めた法律で、昭和22年に制定された。1条で「皇位は、皇統に属する男系の男子が継承する」と限定している。しかし、現行制度のままでは将来的に皇位継承者がいなくなることも想定されるため、小泉純一郎首相の私的諮問機関として設置された有識者会議が議論を進めてきた。
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2005年11月21日

皇位継承は長子優先 有識者会議で方針一致

皇位継承は長子優先 有識者会議で方針一致

 小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大学長)は21日、16回目の会合を都内で開き(1)皇位継承順位は男女に限らず天皇直系の長子(第一子)を優先(2)女性皇族は結婚後も皇室にとどまり宮家を創設―の方針で一致した。女性、女系天皇を認める報告書の骨格が固まり、議論は終了。報告書の文案を最終調整した上で24日の会合で首相に提出する。

 政府は報告書に基づき皇室典範改正案を次期通常国会に提出する。改正が実現すると、現行の「男系男子」に限定した皇位継承資格が女子やその子どもの「女系」皇族にも拡大、皇太子さまの次に愛子さまが皇位を継ぐ道が開けるとともに、伝統的な皇位継承制度は大きく転換する。

 小泉首相は同日、「報告を待って来年の国会に提出できるように準備を進めている」と重ねて明言した。これに対し、男系維持を求める一部の国会議員や学者らは「皇室の伝統に反する」と批判を強めている。

 同会議では継承順位をめぐって「兄弟姉妹間で男子優先」案も検討したが、吉川座長は会合後の記者会見で「男子(誕生)を待つ期間が長くなるのは不安定で好ましくない」と指摘。長子優先は安定性に優れ「国民が幼少のころから将来の天皇として成長を見守ることができる」と強調した。

 また女性皇族の結婚後の身分や配偶者の扱いについては、現在の男性皇族と同様の規定にすると説明。結婚後も皇族にとどまり、宮家を創設することが可能になり、夫や子どもも皇族となる。

 ただ皇族が多くなると財政負担が増える懸念が残る。この問題については、皇太子らを除く皇族は自らの意思がある場合に皇室を離れることができる現行の「皇籍離脱制度」を活用して皇室の規模の適正化を図ることとした。

共同 11/21 21:45
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2005年10月25日

女性、女系天皇容認で一致 最終報告取りまとめへ

女性、女系天皇容認で一致 最終報告取りまとめへ

 小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長・吉川弘之元東大学長)は25日、首相官邸で会合を開き、安定的な皇位継承を維持するため、継承資格を女性や女系皇族に拡大することを基本に、最終報告書を取りまとめることで一致した。

 継承順位の結論は出なかったが、有識者会議として「女性天皇」を容認。政府は11月末にも提出される最終報告書に基づき、皇室典範改正案を来年の通常国会に提出する方針。同改正案が成立すれば「男系男子」に限定していた皇位継承制度の抜本的な見直しとなり、皇室の在り方に大きな影響を与える。

 会議はこれまでの協議で、男性皇族が40年近く誕生していない現状から、現行の継承制度では「近い将来に継承者がいなくなり、皇室制度を維持できなくなる」との認識で一致した。

 継承順位について同会議メンバーは、天皇の長子(第一子)を優先する方針を固めているが、一部学者らの間では直系の兄弟姉妹間で男子を優先することを求める声も根強いことから、国民の理解を得るため十分な議論を行っていくことにした。(共同)

10/25 18:44
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2005年09月30日

識者「ねじれ」批判 原告側判決を評価 靖国参拝高裁違憲判断

識者、「ねじれ」批判 原告側、判決を評価 靖国参拝 高裁違憲判断

 小泉首相の靖国神社参拝を「違憲」と判断した三十日の大阪高裁判決。会見した台湾先住民の原告側からは「画期的な判決」と評価する声が上がった。しかし、重要な問題を扱っている訴訟にもかかわらず、訴訟の形式的な対象である損害賠償では原告側が敗訴しているため、国側は上告できず、識者からは「『ねじれ判決』だ」と批判的な意見も聞かれた。

 「法治国家なら首相は再び参拝すべきでない。それでも参拝すれば、日本国民は憲法を守らなくてもいいということだ」

 民族衣装で会見に臨んだ台湾立法院議員で原告の高金素梅(こうきんそばい)さん(40)は厳しい表情でこう力を込めた。

 昨年五月、原告側の請求をほぼ全面的に退けた一審・大阪地裁判決後の会見では目に涙を浮かべ、憤りを語った。それから一年四カ月あまり。控訴審はわずか三回の口頭弁論を開いただけで結審したが、判決は参拝の職務行為性や宗教的活動にあたることを認めた。

 原告側代理人は「画期的な判決」と評価しながらも、「ある程度期待はしていたが、ここまでの判決が出るとは思っていなかった」と驚きの声を漏らした。

 今年七月に同じ大阪高裁で、靖国参拝をめぐり全面的な敗訴判決を受けた訴訟の原告だった菅原龍憲さん(65)は「高裁で違憲判断が出たのは大きいが、高裁レベルでも判断が分かれたのは、納得しがたい」と話した。

 一方、判決が原告側の損害賠償請求を「利益侵害がなく、請求の理由がない」と退けながら、憲法判断に踏み込んだことに、専門家からは疑問も上がった。

 百地章・日大教授(憲法学)は「原告の控訴を棄却しながら、首相の靖国参拝を憲法違反と認めた『ねじれ判決』。原告側の政治的パフォーマンスに乗った形だ」と批判。

 原告の損害賠償請求そのものは棄却されているため、国や靖国神社側が判決に不満でも上告できないことを「上告封じ」と指摘した上で、「『傍論』の中で違憲判断を行うのは、最高裁を終審裁判所とした憲法に違反すると考えられる」と話した。

≪官房長官「遺憾」≫

 小泉首相の靖国参拝を「違憲」とした大阪高裁判決について、細田博之官房長官は「小泉首相は従来から『私的参拝である』と言っている。今日の判決は大変、遺憾だ」と述べた。その上で、「まさに個人の、私人としての参拝なので、これ(判決)によって影響されるのか、されないのかも含めて分からない」と述べた。

 一方、靖国神社は「原告の控訴が棄却されたことは妥当であるが、首相参拝が違憲と判断されたことは極めて遺憾である。ただ、靖国神社の祭祀(さいし)厳修は、今後も何ら変わることはない」とのコメントを出した。

 日本遺族会の板垣正顧問も「戦没者を慰霊するのは国家存立の基本。それが憲法違反とはおかしな判断だ。堂々と公式参拝である、何ら宗教行為ではないといえばいい」と、国の姿勢も批判した。

 これに対し、民主党の前原誠司代表は「高裁判決が明確に出たのは初めてで極めて重い。しっかり(判決を)とらえ的確な判断をしてほしい。(参拝に)行くべきではない」と強調、首相に対し靖国参拝中止を求めた。

≪小泉首相の靖国神社参拝をめぐる司法判断≫

判決日  裁判所  参拝の公私 憲法判断

16・2 大阪地裁 公的参拝  判断せず

   3 松山地裁 判断せず  判断せず

   4 福岡地裁 公的参拝  違憲

   5 大阪地裁 私的参拝  判断せず

   (台湾訴訟)

  11 千葉地裁 公的参拝  判断せず

17・1 那覇地裁 判断せず  判断せず

   4 東京地裁 判断せず  判断せず

   7 大阪高裁 判断せず  判断せず

   9 東京高裁 私的参拝  判断せず

   9 大阪高裁 公的参拝  違憲

   (台湾訴訟)
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2005年07月27日

「国旗に起立義務なし」神奈川県立校教員らが確認訴訟

「国旗に起立義務なし」神奈川県立校教員らが確認訴訟

 卒業式や入学式で、国歌の斉唱や国旗に向かっての起立を教職員に強制するのは憲法違反だとして、神奈川県立学校の教職員ら107人が27日、県を相手取り、いずれの義務もないことの確認を求める訴訟を横浜地裁に起こした。

 訴状では、国歌斉唱や国旗への起立の強制は、憲法が保障する思想・良心の自由に反するほか、教育に対する不当な支配を禁止している教育基本法や、国際人権規約上も問題があるとしている。弁護団によると、国旗や国歌の強制問題を巡って、従う義務がないことを確認する訴訟は全国で初めてという。

 同県教委は今春の県立学校での卒業式と入学式から、国歌斉唱時に起立しない教職員の人数調査を開始。起立拒否を繰り返した場合、東京都教委と同様、懲戒処分の対象になるとの見解を示している。

 提訴について県教委は「教員は厳粛な儀式的行事にふさわしい態度や行動を生徒に理解させ、指導する立場にあると考えている。訴状を見たうえで対応したい」とのコメントを発表した。

2005年7月27日21時19分 読売新聞
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2005年05月13日

式への妨害無しと君が代反対元教諭の弁護側

「式への妨害無し」と君が代反対元教諭の弁護側

 東京都立板橋高校の卒業式場で「君が代」斉唱の義務付けに反対し、式典を混乱させたとして威力業務妨害罪に問われた元同校教諭、藤田勝久被告(64)の公判が12日、東京地裁(村瀬均裁判長)であり、弁護側は「被告に式を妨害する意図はなく、式に支障もなかった」と、あらためて公訴棄却か無罪を訴えた。

 弁護側は冒頭陳述で、藤田被告が開式前、保護者に国歌斉唱では着席するよう呼び掛けたことについて「短時間、普通の声で語りかけた。『内心の自由』に基づいて決められるべきだと述べたもので、何ら問題とされることではない」と主張。

 退場を求めた教頭らに「触るんじゃないよ」などと抗議したことも「不当な要求への防御的言動。体育館内に無理やり居続けたことはない」と検察側に反論した。

 この日の公判では、検察側と弁護側双方が証拠請求した学校側撮影のビデオと、弁護側が請求したTBSの放送済み報道ビデオを上映。君が代斉唱で、教頭らの指示に従わず大半の生徒が着席した様子や、藤田被告の抗議している姿などが映し出された。

 これについて、TBSは「報道目的以外の番組の録画利用は、将来の取材活動を制限する」として地裁などに抗議した。

共同 05/13 00:03
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2005年03月01日

女帝は天皇制廃止論者の思う壺

雑記帳より

女帝は天皇制廃止論者の思う壺(No.919)

西尾幹二「女帝論の見えざる敵」
−−歴史と民族への責任より−−
「正論」4月号より

西尾氏は、本稿の前半で、中国との外交問題と日本人の特性(優し、く調和を重んじ、争わず、対決を避けるetc.)を論じ、こうした性格が住み心地よくしているが、同時に子供のときから敵が見えない、他者が見えないままに育ち、そのまま政治家や官僚になって国の枢要の地位を占め、さして疑問を抱かずにうかうか目先の業務をこなすだけの人になり−−外国に犯されっ放なしになって、自己の正しさを訴えたり権利を主張するよりも、受身でいることが快く、自虐的であるほうが自尊的であるよりも気骨を折らずに楽であり−−といった奴隷根性を身につけ始めて−−−と厳しい。

そして後半で、最近本格的に動き出してきた「女帝論」に「見えざる敵」を見よと−−。ここではその女帝論のみを。

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首相の私的諮間機関「皇室典範に関する有識者会議」の座長・吉川弘之元東大総長は、1 月25日の初会合後の記者会見で、「国民の意識、世論を十分議論すべきで、最終的に国民の平均的な考え方で決めるしかない」と強調したと報道されている。

ここにはっきりと大きな判断ミスが示されている。国民にあるべき天皇制度の哲学を示し、歴史を教えることが先決だろう。

現在生きている日本人があれこれいじりまわす権利のない問題なのだ。過去と未来の日本民族の全体に責任を負う決定を下す秋を迎えたことを座長は国民に向かって宣言すれぱそれでよいはずである。

今生きている「国民の平均的な考え方」を基準にすると最初から決めてしまえば、過去2千有余年を生きてきた日本人、これからも生きつづける日本人を現代の観念で切り捨てることになりはしないか。

基準は歴史であって、現在の便利な思想ではない。座長は勘違いしている。首相を選ぶのではないのだ。「国民の意識、世論を十分議論すべき」は民主主義の原則で、国政選挙ならいざ知らず、天皇の世継ぎを選ぶのに民主主義の方法は適用できないし、すべきでもない。

同じ新聞によると、座長代理の園部逸夫元最高裁判事は平成16年5月の参議院憲法調査会で「女性天皇を認めることが最もふさわしく、また必要なこと」と述べ、女性天皇を前提にする考えを示している。

小泉首相自らが有識者会議の第一回がまだ開かれる前から、「女性天皇、いいじゃないですか、時代ですよ」とテレビ会見で語っていた。

会議を取り仕切る役とみられる古川貞二郎前内閣官房副長官は、かねて小泉首相から女性天皇を容認する法案をまとめるよう指示されていたという(『文芸春秋』3月号)そのためであろうか、会議のメンバーにかの「男女共同参画審議会」の前会長の名まである。

歴史や法制度の専門家はわずか2人、他も日本民族の運命を決めるのになぜこの人がと首を傾ける人選ばかりで、しかも9月までに急いで結論を出すというのだから、初めに答えありき、であって、拙速と軽率の囂々たる非難は必ずや免れまい。

日本国内の調和、つつましさ、優しさ、乱れをきらう洗練された美意識、汚れのない清浄感、自我を抑えて天地自然の前に脆く敬虔さに、こうした特質を代表しているのが皇室である。

そしてこれは、ある意味で「日本人的なもの」の特性でもある。身の周りに穢れのない秩序を保つという美意識は、日本人のいわば道徳であるといってもいいかもしれない。

しかしこの道徳は自らを守るために戦う方法を知らない。それは皇室が自己防衛の手段がなく、それ自体は玻璃のように脆く、壊れやすく、国民に守られて初めて安泰であるのといわぱパラレルである。

けれども国民はここで大きな矛盾に突き当たる。本来他を攻撃しないことによって培われる日本人の道徳を護るために本居宣長があえて「漢意」(からごころ)を攻撃せざるを得なかったパラドックスにも似た構造、すなわち、皇室の本来性を守るために攻撃を知らない皇室の代りに国民は皇室の敵と戦わなくてはならないという逆説にさらされている。

愛子内親王がお生れになって女性天皇の声が高まった。雅子妃殿下に男子のお世継ぎの負担をなくしてさしあげたいという国民の優しい気持がこれに加わった。

有識者会議の座長が言い出した「国民の平均的な考え方」とは多分それに当るであろう。天皇家という目の前のファミリーへの国民の敬慕の気持は強いし、天皇制度をあった方が良いと考える国民の数は、投票でもすれぱ圧倒的だろう。

しかしそれは無自覚の感情である。皇室の敵が何であるかを知っていない者の無防備の心情である。これから百年も千年もと天皇制度がつづくための条件をこしらえなけれぱ、敵は30年も経たぬうちに強力な姿を現わす。

「有識者会議」は国民に敵の正体を知らしめ、警告し、皇室の未来を安泰にするためになすべきこと、そのための哲学、その前提となる歴史知識を国民に教え、普及するのが本来の仕事ではないのか。

女性天皇の善し悪しの私見は今ここではしぱらく措く。その前に、愛子さまが可愛いい、雅子妃がおいたわしいという日本人的直接性が、すべてに先行するとき、目に見えるものに憐れみや愛を注ぐに切な日本人の特性や美点が、目にみえない遠い世界、この場合には日本の歴史という悠久なものに、抽象的想像力を働かせることがややもすると疎かになる日本人の弱点となって立ち現われはしないだろうか。

私が言いたいのは、歴史は個々人を超えているということである。天皇をも超えている。天皇家という目の前のファミリーをも超えているのが歴史というものである。日本人にとって大切なのは天皇という制度であって、個々の天皇個人ではない。

深い考えもなしに女性天皇を容認すれば、すべて解決するという首相以下お歴々の考え方は、原理原則を忘れ、それゆえ天皇制度をこのまま無くしてしまう暗いほら穴を掘る作業に早くも手を貸している。敵が見えていないからだ。

中国という敵が久しく見えず、国境を犯されかかっているテーマとそっくり同じである。前号に述べた男女共同参画と「従軍慰安婦」の問題もやはり、国を蝕む国内の敵が見えていないからこそ起こったことなのだ。

日本の政治家や官僚たちの迂闊さ、呑気さ、戦うことを忘れた空つぼの精神、抽象的想像力を欠いた、受動的で無警戒な、その日その日をやり過ごす問題先送りの怠惰な心において全問題は共通している。

皇位継承問題で今までマスコミに出たすべての論者が見落しているのは、わが国の知的社会には、スキあらば天皇制度を否定せんとする強大な「敵」が存在することへの洞察である。

「敵」を指し示し、予防するのが「有識者会議」の仕事でなくて何であろう。国民は「敵」に気づいていない。「国民の平均的な考え方」などに頼っているわけにいくまい。30年後に天皇制度はなくなってよいと考えるのなら話は別である。

明治憲法を構想したひとり、井上毅が描いた「万世一系」の皇統の観念、神代から今に至るまで連綿としてつづいて乱れなかったとされる観念について、次のように語る学者がいる。

******

井上によれば、「萬世一系」がそれとして尊いのは皇胤(男性天皇の血統)がつながっているということであり、それは、男系・男子においてつながっていることにほかならない。

女子がこれを引き継いで結婚し、夫とのあいだで子を成して、この子が皇位を継承するなどは、以っての外である。というのは、それは、夫という異姓への引き継ぎになってしまい、皇胤の引き継ぎには全然ならないからである」と、−−こう井上だちは考える。

このように、井上たちによれぱ、「萬世一系」とは、男系・男子による血統の引き継ぎであり、女系・女子がこの間に入り込む余地はないのである

(もっとも、「女帝」論の花盛りの現今、広く知られるにいたったように、歴史上8名十代にわたる「女性天皇」が存在したのは事実である。

しかし、これらの天皇は、けっして結婚することはなく、やがてまもなく皇男子孫に皇位を引き継ぐための「中継ぎ天皇」、別言すれば単にピンチヒッターでしかなかったから、皇統に乱れは生じていない−−と、こう弁明された。この弁明は、1946年末の帝国議会でも同じように展開する)。

*****

敗戦を経ても井上の「女帝」否認の男系・男子主義の「万世一系」の観念は、金森徳次郎に引き継がれ、生き残った。圧倒的多数の日本人によって戦争をくぐって護持された「国体」の観念がこれである。

今あらためて「国体護持」のスローガンを高々と掲げるこの学者はいったい誰であろう。男女平等に立つ憲法からみて、「女帝」否認の『皇室典範』は性差別という点で憲法に違反するという説がある。

九州大学名誉教授の憲法学者横田耕一氏はそういう考えである(第159国会憲法調査小委員会、平成16年2月5日の発言)。

けれども、井上毅の考えをたったいま要約したあの学者は、性差別だから憲法違反だという点については「賛成できない」と語る。第一に天皇や皇族は憲法上も「ふつうの人」とは違った存在であって、人権規定は適用されていない。

第二に、男女を差別する男系・男子主義に関しては合理的説明ができないと反対者は言うが、合理的理由なんてことを言い始めたら、万世一系の天皇制にこそそもそも「合理的理由」はないのであって、それでも存在が認められているのだから、差別だ、違憲だというのは筋違いだと反論している。

まったく正論である。歴史とは不合理なものである。そして、次が最も重要な陳述だが、今の世の風潮に押されて、なんとなくムード的な「女帝」容認論が通ってしまったら、どういうことが起こるか、諸君ははたして深く考えているのか、と、痛い処に手を入れるようなものの言い方を展開している。

*****

何ぞ知らん、性差別反対という、それ自体もっともな大義名分に促された一般公衆が、ポピュラーな政治家たちに誘導されて典範第一条を改正して「女帝」容認策をかちとることに成功したと、仮定しよう。よって以って「世継ぎ」問題はめでたく解消し、天皇制は生き延びることができることになる。

しかしこの策は、天皇制のそもそもの正当性根拠であるところの「萬世一系」イデオロギーを内において浸蝕する因子を含んでいる。男系・男子により皇胤が乱れなく連綿と続いて来たそのことに、蔽うべからざる亀裂が入ることになる。

<いや私たちは、「女帝」を導入して天皇制を救い天皇制という伝統を守るのです>と弁明するだろう。だが、そんな、「萬世一系」から外れた制度を容認する施策は、いかなる「伝統的」根拠も持ち得ないのである

(いま、ここで「女帝」という言葉のなかに、歴史上幾例があった「中継ぎ女性天皇」を含まない。「中継ぎ」は所詮、男系・男子主義のための本質的に一時的な媒介者でしかないのだから)。

「女帝」容認論者は、こうして「伝統」に反し「萬世一系」イデオロギーから外れたところで、かく新装なった天皇制を、従来とはまったく違うやり方で正当化して見せなけれぱならないのである。

*******

さあ、現代の天皇制擁護者はどうやって正当化してみせるのか。「頼るべき伝統、それに対応した既存の正統イデオロギー、のいっさいが欠けている」。どうやって新しい「天皇制哲学を案出」するのか、お手並拝見といきたい。

自分としては「哲学的な正当化が可能である」ことには「懐疑的」で、憧れの天皇制も大衆天皇制ももはやけっして頼り甲斐のあるものではあるまい、と、最後は突岩離したような冷たい言い方になっている。

他人事のような口調だが、男系男子の皇位継承を正しいとする論理は大筋において八木秀次氏や小堀桂一郎氏らのそれと一致する。

伝統的な保守派のイデオローグは一貫して男系・男子によって血統が引き継がれる「万世一系」の皇位継承のシステムを堅持しようとしている。私も同じ立場である。私も「女帝」容認論ではない。

しかし何と驚くなかれ、私たちとほぼ同じ概念で同じ見地を皇統の正しい唯一のあり方として展開した上記の学者とは、最左翼の憲法学者奥平康弘氏である(『世界』平成16年8月号)。

首相の靖国参拝にも、オウム真理教の破防法適用にも頑健に反対し、憲法九条を死守せんとし、勿論、天皇制度をその根底において否定している、共産党に最も近い反体制憲法学者の首魁である。

そういう人が、否、そういう人だからこそ、よく知り抜いている。われわれ「尊皇派の評論家」の「憂皇的な心情吐露」の言説をからかって、お前たちに何ができるか、女帝容認ときまって、もうあと2,30年もすれば、いわば自動的に天皇制度は消えてなくなるのだよ、と言外に匂わせている。

2,30年経ったところで、天皇制度を破壊しようと念願してきた国内のありとあらゆる「敵」は、奥平氏のこの指令をおそらく決して忘れないで起ち上るだろう。

「天皇制はもう終わった。愛子天皇はもはや『万世一系』の皇統とはいえない贋ものだ。人権侵害と差別の象徴である天皇制そのものを廃棄しよう! 皇族を解放し、彼らに人権を認め、一般人と同じ信仰の自由、言論の自由、離婚や再婚の自由を与えよう!」と言い出すときが来るだろう。

彼らはそれを今から待っている。事実、奥平氏は、同論文の末尾で、皇族に「脱出の自由」を認める方向で手続き規定がなされるべきだ、と書いている。彼の本心は、砂山が崩れるように少しずつ、時間をかけ、天皇制度を解体する方向に今から手をかす準備をしようとすることである。

そのときになって、日本人にとって皇室がいかに大切かと人々が叫び出してもじつはもう間に合わない。手遅れである。たとえ女系による血統が細々と続いても、「敵」がそれをもはや畏れない、甘くみる、という要素がじつは決定的に重大なのである。

「もう本物じゃない」の言葉の影響は少しずつ輪を広げ、浸潤する。『文嚢春秋』3月号の皇位継承特集を読んでも保守派は誰もこのことを問題にしない。皇室の「敵」が何であるかを決して見ようとしないし、見えていない。

男系男子による「万世一系」の皇統のみが唯一の正統だと保守派の中で最初に言い出したのは、憲法学者の八木秀次氏だが、同じ正論を天皇制否定論者の憲法学者がいち早く気がつき、言い出していることが、より深刻なのである。

共産党や公明党はなぜただちに女性天皇に賛成したのか。「有識者会議」がおぱかさんの集りだということが「敵」の目にはっきり映っていよう。シメタと思っているはずだ。このまま女帝容認に傾げば、もう後はこっちのもの、と。

左翼から明らさまなどぎつい攻撃が仕掛けられても国民感情がこれを拒否すると人は言うだろう。が、じつは、問題はなし崩しに進む権威の失墜なのである。横田耕一氏の先述の国会証言に次のような言葉がある。

「天皇の権威の基礎は、基本的に男系による万世一系の血脈にあると考えられます。こうしたいわゆる神聖家族にあっては、婚姻によって神聖でない血脈が入ることによる神聖性の希薄化は避けなければならない問題であります」

「天皇制度の断絶のリスクを回避するためには、将来的には、伝統を捨てて、男系女子のみならず、女系男子、女系女子を認めるしか方策はございません。

それは伝統的な天皇制度ではないと言っても、どうしようもございません。そこで、最後の問題になりますが、しかし女系天皇を認めるということは、社会的に天皇の持つ国民統合力を弱めるように働く可能性が高いということは、やはり問題として指摘しておかなけれぱいけません」

彼はまた別の処で、「あと何十年もたてば、象徴天皇制の存在自体が問われる時代が来るでしょう」(共同通信平成16年6月24日)と、否定的な見通しをも語っている。

で、ここで今国民は岐路に立たされている。旧宮家を復活し、何代遡っても今の天皇家とは別系統の男系男子の子孫を皇位継承の位置に近づけるか、それともあっさり、現在の直系の女性天皇の容認で、小泉首相の意向に沿うのか、事柄は余りにも重大すぎる。

現代は政治家にこのうえなく高い能力が求められている時代だと思う。政治家は大学教授になれるが、大学教授は政治家になれないし、なってはいけない。

高い知識と、高い知識を有効に活かすべき政治指導力とは、自ずと別である。政治を知らない軍人はあっていいが、軍事を知らない政治家はあってはいけない。

同じように、現実の政治を知らない歴史家はあっていいが、歴史を知らない政治家はあってはいけない。小泉首相はこのまま安易な女帝容認を法制化し、政治的功績を得たつもりになっても、百年の歴史の中で「逆賊」の汚名を着ることにならないとも限らない。

皇室の本当の「敵」が見えないままで「皇室典範」に手を加えるのは、外敵に気づかぬ侭に国境を自由開放するのにも似ている。中国間題で奥にいる「敵」の仕掛けが見えない不用意な外務官僚とそっくり同じ危うさである。

伊藤哲夫氏が示唆していたことだが、十五代つづいた徳川幕府は傍系の「御三家」(水戸、紀伊、尾張)ないし「御三郷」(田安、一橋、清水)から継嗣を迎えて、断絶の危機を乗り越えたこと四度に及ぶ。

吉宗(紀伊)、家斉(一橋)、家茂(紀伊)、慶喜(一橋)が傍系からの継承だった。側室制度が認められていてなおこうだった。

徳川幕府よりもはるかに歴史の長い天皇家の血統の保持には言語に尽くせぬ工夫と努力が積み重ねられていた。その代表例が「世襲親王家」の存在である。古くは室町時代に、皇統の危機に備えるべく創設され、維持されてきた。そしてこの「世襲親王家」は、室町時代の後期までにほぼ消滅する。

それ以後江戸時代末にかけて、いわゆる「四親王家」、伏見、桂、有栖川、閑院の四宮家が成立し、皇位継承資格を守り、いくたびも危機を救ってきた。例えば閑院宮家は新井白石が皇統の危機に備えて、幕府に新設を建言して容れられた宮家である。

白石の先見の明ある指摘はすぐに現実のものとなった。後桃園天皇が突然崩御し、後嗣がないままだった。そこで閑院の宮第二代の王子が急遽、後桃園天皇の養子となって、これが光格天皇となった。彼は東山天皇の曽孫に当たる。

光格天皇こそが、ほかでもない、今上陛下の直系の先祖である。戦後に11宮家がGHQの指令で廃され、臣籍降下となったのはわれわれの記憶のうちにあるが、「四親王家」のうち桂、有栖川は断絶し、伏見家がいわば11宮家の基であるともいえる。

『文芸春秋』3月号は今に残る旧宮家に8人の「皇子候補」が存在せられるという保阪正康氏のルポルタージュを載せている。

詳しい実際を私は知る者ではないがこうした事実が表面に出た以上、「有識者会議」は光格天皇の系譜とは別の流れから男系・男子の血統に皇位を継承させる可能性について口を緘するわけにはいかないだろう。

間題は広く公論に問われるべきである。国民に周知され、討議が高まり、理解が得られる努力が必要となろう。「有識者会議」に求められるのは新井白石の叡智である。

養子制度の拡充などで、別の男系とはいえ今上陛下の系譜とも血の交わりのある「皇子」を宮家に立てるなど、古来の伝統を現代人の感情にどう無理なく結びつけるかの微妙にして、困難をきわめる工夫が必要である。

皇統の維持を現在の天皇家の唯一の系譜の中でのみ確保せよ、というのはどう考えても無理があるし、不可能である。いま女性天皇で切り抜けても、早晩次の世代に問題が起こる。そしてもうそのときには、完全に手遅れである。

現在の天皇家の女系の血筋そのものでさえも危うくなるだろう。十重二十重の安全弁が講じられなければなるまい。遅きに失したとはいえ、今が最後の機会である。

男系男子の血筋を正統とする「万世一系」の考えに、現代人は合理的説明を求めたがる。何か深い理由があるに相違ない、と。染色体などで科学的に解明する必要があるのではないか、と。しかし、百二十五代の皇位継承が現にそのように行われたという「歴史事実」があるだけで、十分ではないか。

合理的説明を始めれば面白い解釈は幾らでもあるだろうが、解釈は万人を納得させるものではない。「事実」は解釈を拒絶している。歴史になぜ、はない。

その点では左翼の奥平氏のほうが、不合理といえば天皇制度そのものが不合理なのだから合理か不合理かを問題にする必要はないと断じていて、説明をほしがる現代のインテリよりよほどしっかりしている。

最後に、誰でもが抱く心配を私も抱く。幼い愛子内親王を念頭に置いて女帝を容認するとして、2,30年後に即位した天皇のご夫君になられる人が見つかるであろうか。

歴史上に名称もない地位である。過去の十代8人の女帝が未婚か寡婦だったのは夫たる者が余りに畏れ多く、なり手がなかったせいか、女帝が重責でありすぎたせいか、分からない。

同じことが愛子様の身にも起こる可能性は大きい。さらに遠慮ない言い方をさせて頂くが、雅子妃殿下の近年の行動は、皇室には一般市民の人権はないという「帝王学」が身についていない不適応を予知させる面が少なくない。

国民もまた天皇家を一般家庭の延長線上に見る戦後の悪い風潮に染まっている。

雅子妃の一般市民的感性と知的エリート的発想で養育された愛子様の未来、天皇としての未来に、一抹の不安を抱くのは決して私ばかりではないだろう。

天皇家は隔絶した別個の存在であって、姓も住所もなく、国民でもないのである。その地位を維持するには国家はもっと多くの予算を投与すべきである。

聞く処では、国民ではない宮家には国民健康保険がなく、治療費に苦慮されると聞く。数多くの宮家復活の障害にもなる。

小泉首相は安易に女帝を口にする前に、天皇家・宮家の財政を豊かにすることを考慮するよう私は進言する。
posted by 爲藏 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 反日 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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